ジオラマとはどのようなもの?ジオラマの歴史や種類を詳しくご紹介

ジオラマとはどのようなもの?ジオラマの歴史や種類を詳しくご紹介
ジオラマと聞いて、どんなものを連想するでしょうか。何となく、模型のような「作られたもの」をたくさん置いていって、リアルに何かを再現した大掛かりなものというイメージを持つ人が多いでしょう。そこに置かれているひとつひとつのものは、リアリティーさを追求して表現され、見る人々を圧倒します。ここでは、ジオラマの歴史と、ジオラマにはどのようなものがあるのかについてご紹介します。

ジオラマの歴史

細かくも壮大な造りをしたジオラマや、非常に手のかかる多数の模型が立ち並んでいるジオラマがあります。中には人・木・家などが並べられており、全体的に見ると、独特の世界観を作り出しています。さて、それらには、どのような歴史があり、どのように変わってきたのでしょうか。

現在、ジオラマというと、たとえば博物館や資料館で展示されている、説明用に何かの場面や風景を再現した模型群をイメージする人が多いでしょう。ところが、最初に登場したジオラマは、そのようなものとは大きく異なっていました。

最初に登場したジオラマの舞台は、19世紀はじめのフランスです。当時、画家であったルイ・ジャック・マンデ・ダゲールがアトラクションとして製作した世界最初のジオラマは、箱の中に背景画と模型を配置し、効果的な照明を当てたものを、取付けられた窓から覗くものでした。ジオラマを見た人々は、本当の風景を見ているかのような錯覚を体験したといいます。ジオラマは、そのように絵の延長としての働きをしていました。

このように、当初は景色や情景としてジオラマは認識されていました。ところが、次第にその主役は、景色ではなくそこに配置されていた模型に移っていったのです。そしてジオラマという単語は、「景色全体」から、中に置かれた「模型」を指すものへと変化していきました。

日本へも明治時代にはジオラマは伝えられ、東京の浅草で興行されていました。日本においても、絵から模型へというジオラマの変遷が、そのまま展示物に表されました。

模型を中心にとらえるという、ジオラマの見方を決定づけたのは、博物館の展示でした。1902年には、アメリカ自然史博物館で、動物のはく製を背景画の中に置くという手法(ジオラマ展示)を始めたのです。それにより、この「ジオラマ展示」という手法が世界に広がり、現在に至ります。

ジオラマの種類

現在、私たちが目にすることが可能なジオラマには、どのようなものがあるでしょうか。それを挙げてみましょう。なぜジオラマを作るのか?それは、ジオラマに大きな意義を込めていることが多いのです。ここでは、現代の私たちが見られるジオラマの例と、そこに潜むジオラマの持つ魅力についてご紹介します。

博物館の展示

前述の通り、ジオラマ展示が博物館の効果的な展示法として、古くから用いられてきました。たとえば、東京・両国にある「江戸東京博物館」には、入場してすぐの目立つところに、江戸時代の日本橋の様子を描いたジオラマ展示があります。実にたくさんの人たちが、日本橋を往来している活気にあふれた当時の様子を表しています。ひとりひとり職業も違えば表情も違う。ものすごく繊細なディテールまで再現されており、圧巻です。

また、東京・上野の「国立科学博物館」の「地球館」は、生物の進化をテーマとする1万4千点もの展示物(収集物は470万点に及びます)を有する、屈指の博物館です。ここにもすでにこの世界に存在しない生物の模型や、現存する動物のはく製などをジオラマ展示している所があります。

これらのジオラマ展示の特徴は、その展示法が「現在再現が難しい(あるいは不可能な)ものを視覚的に伝える、効果的な方法」だということです。たとえば、江戸時代のような過去の街並み・何億年も昔の地球の様子・その動物が生きている大地の環境などが挙げられます。どのような立派な文章を並べるよりも、ジオラマで示すことのほうが、はるかに効果的ではないでしょうか。

鉄道模型というジオラマ

風景の再現という点でいけば、鉄道模型も人気があります。鉄道のみならず、周辺の街や田舎、山や橋などを作り、いかにも鉄道が実在して時には走っているという、リアリティーを追求した模型は、鉄道ファンには人気です。鉄道が好きな人は、細かい所にもこだわりがありますので、そのジオラマの完成度は、高いものがあるでしょう。その主役になる鉄道車両の模型も然り。接写すれば、迫力のある「景色」を写すことが可能です。ちなみに、その世界では同じ鉄道模型でも、鉄道車両は走らせずに置いているだけの「ジオラマ」と、実際に車両を走らせている「レイアウト」と区別するそうです。

ジオラマによるアミューズメントスポット

栃木県日光市鬼怒川に「東武ワールドスクウェア」という施設があります。ここは、世界の有名な建造物の模型を配置している、珍しいジオラマスポットです。すべて原寸の25分の1の縮尺で作られ、人のミニチュアもたくさん飾られていて、世界旅行に行った気分になります。これも、ジオラマを通して、その建造物のある場所にいるという錯覚を持たせることで訪れる人を楽しませるのです。

まとめ

ジオラマは実際にはなくとも、その風景が、あたかもあるように錯覚をしてしまうものです。はじめは「絵」の延長として考案されたものが発展して、見る人々に視覚的に情報を与える「模型」として今も有効に用いられています。これから、さまざまな技術や演出の方法が広がりを見せる中、どのように進化を遂げるのでしょう。

「有限会社パウ」では、ジオラマにまつわるあらゆる業務を行っております。たくさんの模型や部品を扱っておりますので、ぜひジオラマの世界に触れにお越しください。