立体造形の基本とは?各種立体造形の工程・素材についても解説!

立体造形の基本とは?各種立体造形の工程・素材についても解説!
立体造形とは、任意の立体形状を造形する芸術です。テーマパークや美術館に設置されるモニュメントのように、主に造形業者が制作するものから、趣味として人気があるクレイアート(粘土造形)などがあります。実にさまざまな立体造形があるのです。本記事では各種立体造形に使用される素材や、工程について解説します。

立体造形に使用される主な素材とは

立体造形に使用される素材は多種多様です。その中でもよく使用される主な素材に、発泡スチロール・粘土・FRPなどがあります。目的や用途によって使い分けられます。それぞれの素材の特徴について説明しましょう。

発泡スチロール

発泡スチロールは比較的加工しやすく、より短期間での制作が可能です。しかも軽量で巨大オブジェなどの大物も制作しやすいため、多くの立体造形業者で使用されています。一方細部の再現性は、粘土と比べると劣ります。

粘土

粘土はリアリティを重視する造形に適した素材です。制作者には豊富な経験と高い技術力が必要なものの、扱いやすい材質なので細部まで正確に再現できます。本格的なクレイアートでは、薄くて繊細な花びらや、象の体全体に見られるシワなどが見事に表現されています。

粘土にも種類があり、造形でよく使用されるのが彫刻刀で削れたり細部の表現がしやすかったりする石粉粘土です。また硬化しても弾力性があり、ひび割れしにくい樹脂粘土です。一方で粘土は重いので大物の造形には向かず、また制作にも時間がかかります。

FRP(ガラス繊維強化プラスチック)

FRP(Fiber Reinforced Plastics)には、多くの優れた特徴があり、立体造形には欠かせない素材です。強度がありながら軽量なので大物の造形にも適しており、移動搬入も容易です。耐久性・耐候性・耐水性が高く、腐食しにくいので屋外設置にも適します。形状や塗装は自由に表現できるので、木や岩、金属などの素材感も再現できます。

粘土・石膏・FRPを用いた立体造形の制作工程

立体造形に用いられる制作工程や方法、素材には多岐にわたるものです。粘土や発泡スチロールをそのまま塑像にする方法もあります。ここでは粘土を原型の素材に、石膏とFRPを型の素材に使用した場合の、制作工程について説明しましょう。

スケッチ

参考画像や資料をもとに、造形の完成形を意識しながらスケッチしていきます。要望に沿うよう、イメージの擦り合わせも大切です。

下地工程

粘土を盛り付けていくための骨組みを作ります。骨組みの芯材には、アルミニウムやステンレスなどが使用されます。

塑造(クレーモデリング)

「塑」は粘土を意味し、ここでの塑造(そぞう)とは、粘土を造形する工程です。塑造によってできあがったものが塑像(そぞう)で、これが原型にあたります。粘土を荒づけし大まかな輪郭をつくり、次に彫塑ベラ、彫刻刀なども使用しながら細部を整えていきます。高い技術力が必要で、全体のバランスを見ながら微妙な修正を繰り返すのです。

石膏型取り

原型の周囲全体に石膏を盛り付け、しばらくして石膏が固まると、その石膏を分割して取り外すという手順になります。まずその分割したい部分に切金を挿し込んでいきましょう。各切金は1cm程度重なるよう挿し込み、マスキングテープなどで固定しておきます。

次に石膏と水を1対1の割合で混ぜ、その石膏溶液を刷毛などで素早く原型全体に塗りつけます。再び同様に石膏溶液をつくりましょう。半ペースト状になったら、ゴムベラですくって原型全体に1cm程度の厚みで盛り付け、石膏が完全に固まるまで待ちます。石膏の強度を増したい時は、スタッフ(麻繊維の補強材)を石膏溶液に混ぜておくとよいでしょう。

離型

スクレーパーやマイナスドライバーなどを切金部分に挿し込み、慎重に石膏を外していきます。石膏の内部をきれいに仕上げておくことで、FRPの成型品の表面がよりなめらかになります。

FRP樹皮成形

まず石膏型に離型剤を塗布しておきましょう。次に1層目にFRP樹脂を、2層目にはガラスファイバーを敷き、5mm程度になるまで交互に積層します。その際脱泡用ローラーで気泡を取り除いていくことが重要です。FRP樹脂を針金などで固定し、完全に固まれば石膏型を壊します。

接合部分のバリを取り、必要であればボディパテで補修します。次に耐水ペーパーや研磨グラインダーで研磨し、表面を仕上げましょう。 これで粘土の原型がFRP樹脂で再現されたことになります。

塗装

塗装のノリを良くするため下地にサーフェイサーを吹き付け、乾いたらフッ素塗装やウレタン塗装を施します。フッ素塗装は紫外線に強く、防カビ効果や耐久性もあるので屋外用に適しているものです。ウレタン塗装は、どういった素材に対しても高い密着性があり、汚れにくく傷にも強くなっています。最後にクリアスプレーで表面をなめらかに仕上げると完成です。

発泡スチロール・石膏・FRPを用いた立体造形の制作工程

発泡スチロールを原型の素材に、石膏とFRPを型の素材に使用した場合、下地工程が不要になります。塑造の工程が異なります。まずニクロム線に電圧をかけ、その熱で発泡スチロールのブロックを粗削りしましょう。その後ナイフで形を整えていき、サンドペーパーで微調整します。塑像が完成すると、その後の工程は上記の粘土の場合と同じです。

まとめ

芸術・アミューズメント・ビジネスなど多くの分野で、人形・動物・オブジェ・映像撮影用の小道具など、さまざまな立体造形は必要不可欠です。立体造形は、素材選びやスケッチから始まり、骨組み作り・塑造・型作り・離型・塗装の工程を経て完成します。

「有限会社パウ」は1985年より、立体造形の設計・制作を手掛けている会社です。大きいサイズの製品からリアリティにこだわった製品まで、幅広く対応しています。また絵画・油絵・造形の教室もご用意しています。ご興味がある方や、各種立体造形製品をご検討の方は、ぜひともお気軽にお問い合わせください。